約 5,047,511 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1076.html
戦うことを忘れた武装神姫 - type_S -05 皆様、こんばんは。 神姫との生活、いかがお過ごしでしょうか。 キャッキャウフフも、ドキドキハラハラも。そして、夜の生活も。 それぞれに、それぞれの生活があることでしょう。 しかし。 世の中には、本当は怖い神姫との生活というものもあるのです。 今宵は、その一部をご紹介しましょう・・・。 ・ ・ ・ ・ ・ ~めざまし神姫・Phase-3:アーンヴァルの場合~ 朝。 目覚まし時計の電子音が部屋に響く。 「・・・。」 布団から手がぬっと出てきて、器用に目覚まし時計の電池を外した。 電子音が止まると、再び手はずるずると布団の中へ。 「あらまぁ・・・毎朝毎朝、実に器用ですねぇ・・・。」 ベッドサイドでふよふよと装備状態で浮かぶアーンヴァルが、しみじみとマスターの寝顔を眺めていた。 「・・・あぁ、いけません。早く起こさないと、マスターがまた遅刻してしまいます。」 アーンヴァルは、傍らから小さなハリセンを取りだし、男の顔を叩いた。 「えい! マスター、起きてくださいっ!!!」 ぺし、ぺしぺしぺし。 当然だが、その程度では起きることはない。 続いて、何故か魚肉ソーセージを取りだしてポコポコと叩く。 むずむずとくすぐったがるかのように眉がぴくりとだけ動いた。 ・・・が、やはりそれだけ。 「はぁ、これでもダメですか・・・。 ならば。 ・・・よいしょ。」 LC3を持ち上げ、照準を男の額に合わせた。 「・・・いきますっ!!!」 しゅばばばばばー!! 閃光が部屋を包む。 しかし。 男のおでこが少し赤くなっただけ。 ぽりぽりと男は眠ったまま額を掻いただけで、起きる気配なし。 腕組みをしてしばし考えるアーンヴァル。 ・・・ふと何かを思い出し、ふよふよと枕元から一旦離れ、・・・腰のあたりに妙な箱をぶら下げ戻ってきた。 箱から出ているコードを自らのLC3に接続すると。 「コンデンサーユニット、作動します!」 キィン・・・! 部屋に甲高い電子音が響いた。 「チャージ完了! それでは、改めて・・・いきますっ!!!」 アーンヴァルは再び間合いをとり、男の額に照準を合わせると引き金を引いた。 じゅばばばばばぁぁん!!! コンデンサーユニットからの強力な電力が加わったLC3から、猛烈な光が放たれる。 あまりの明るさに、同じ部屋の片隅で寝ていたマオチャオが飛び起きたほど。。。 数秒後。 「うわっちゃちゃちゃちゃちゃ!!! 頭焦げた焦げた焦げた焦げた! 毛が燃える毛が燃えるぅっ!!!」 絶叫と共に、男が飛び起きた。 男の頭は、あまりの熱量のために・・・髪が、最近「上がり」つつある大切な前髪が・・・ブスブスとくすぶっていた。 結局。 男は仕事には間に合ったものの、先に散髪屋で整えるハメになってしまった。 ・・・大胆にカット。 広い額がさらに広くなり、実年齢以上に老けたという。 帰宅後、やりすぎだとアーンヴァルを注意したものの、「目覚まし時計ですんなり起きないマスターがいけないんですよ!」と切り返されて反論できず、(´・ω・`)ショボーン。。。 神姫との生活。 それは、落とし穴に落ち続ける日々なのかも知れない。 >>次の話を読んでみる>> <<トップ へ戻る<<
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2335.html
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/546.html
共通武装・共通装備の経緯ガジェットブレード“ヨルムンガルド”・改々 ブラストリボルバー“フェンリル”・改 ストライクワイヤー“ヘル”・改 急速移動用ブースター 補助アーマー “魔剣”の経緯“舞剣”エルテリア “閃牙”ライナスト “魔奏”コライセル 共通武装・共通装備の経緯 当初「ハンドガン×2+ブレード×2」をロッテに与えていたが、 多様な“妹達”によって各種装備が特化されていく中で、これらも 見直しが図られ、各神姫専用の共通武装・共通装備が用意された。 更に“魔剣”との並立を目指し、その機能にも改良が加えられた。 ガジェットブレード“ヨルムンガルド”・改々 アルマ専用に晶が作った、強化セラミック剣の総称。大型タイプが 2タイプ2本に小型タイプが2タイプ1本、合計6振りのセット。 湾曲したセラミック刃は軽量で、振り抜く速度を阻害しない構造。 日本刀及び小太刀に近い形状だが両刃の剣である等、違いは多い。 黒く堅い刀身に焼き付けられた、白い龍鱗の紋様が特徴的である。 MMS用共通ジョイントが柄にあり、これを用いて組み換える事で “大手裏剣・白詰草”風の投擲武器や“フォービドブレイド”風の 巨大なブレードとして運用できる。更に専用の鞘を合体させる事で デスサイズ・ツインブレイド・クレイモア等にも自在に変形する。 各形態は、竜の身体をモチーフにしたフォーメーション名を持つ。 バージョン2である“改”は握りのデザインが若干変化した他に、 鞘部が大幅に小型多機能化している。単純なサイズだけでも一回り 細くなっており、カートリッジ式オートマチック型電磁加熱機構を 搭載、セラミックである刀身部を白熱化させる能力を備えている。 更に機構に直結した仕込み刃も存在し、展開するとダガーになる。 なお電磁加熱機構は、アルマの声紋が起動トリガーになっている。 なお“舞剣”エルテリアの覚醒前夜に、鞘にフックが搭載された。 これはエルテリア運用に際して、攻撃力を高める為の措置らしい。 ブラストリボルバー“フェンリル”・改 ロッテ専用に晶が作った巨大ハンドガン。銃身が神姫の腕程ある。 魔性の狼をあしらった白銀の銃身は、晶がデザインした流麗な品。 フレームが強化されたロッテは、これを二挺拳銃状態で使用可能。 リボルバー式ながら、彼女の技量によって高速連射を可能とする。 弾倉には専用の44口径チタンベアリング実包を、6個装填できる。 ヴズルイフを参考として晶のカスタム部品が大量に使われており、 破壊力と重量では大型ライフルに匹敵する、怪物級のハンドガン。 弾薬が普通の物ではない為、生半可な強度では焼き付いてしまう。 その為非常に頑健な作りとなっており、盾の様に使う事もできる。 弾丸はホルダー脇の専用ポーチに収納され、器具を使い装填する。 バージョン2である“改”は銃口にジョイントが増設されており、 特殊弾頭をセットして高速射出する仕掛けが施されている。大抵は 単発式だが、グレネード・ロケット弾・焼夷弾・照明弾・閃光弾等 多彩な弾丸を使用できる為、一撃の威力増強に適した機構である。 なお、弾丸は筒型のアダプターに詰められ別途携行する事になる。 またこの機構は、サイレンサー等の接続にもそのまま利用出来る。 ストライクワイヤー“ヘル”・改 クララがアラクネーから譲り受けた、“斬鋼糸”を改造した逸品。 微細チタン粒子をコーティングした銀の糸は耐久性に優れており、 0.24ミリの直径はカッターとしての運用を可能とする、暗殺武器。 相手の関節などに巻き付けて引き斬るのはもちろんの事、障害物や 付属アンカーの併用で、ワイヤートラップも作れる。6個セット。 その他空中移動等用途は多岐に渡る物の、熟達した技巧を要する。 故に本来は訓練を積んだアラクネーにしか使用できない武器だが、 クララは“ゲヒルン”で最適な展開手順を弾き出して、運用する。 熟練の技が必要な部分を、莫大な計算力で補っているという訳だ。 幸い膂力は必要としない為に、習熟すれば更なる威力が見込める。 バージョン2である“改”はワイヤー中継の為に、強化鋼リングが 付属している。これとアンカーを経由する事で、ワイヤーの軌道を 変則的にする事が可能となる。また、白兵武器として利用する時も これにより安全にワイヤーを束ねる事が可能で、威力が増強する。 急速移動用ブースター 本来は突撃敢行時の瞬発力を補う為の補助ブースターであったが、 各自が得意とする間合いを確保する為に、現在は機能が分化した。 アルマは前進・ロッテは後退・クララはサイドスライド用である。 補助アーマーの背部に搭載されており、連続使用回数は多くないが 直立状態から確実・迅速に、指定された方向へ神姫を“跳ばす”。 燃料には不燃性の圧縮ガスが用いられているらしく、出力は高い。 しかし急制動が基本の為、上手くバランスを取らないとすぐ転ぶ。 更に進行方向に応じてガスの噴射口が異なる為に、使用は難しい。 それ故、運用する為には訓練を経て受身姿勢を覚える必要がある。 ロッテ達は専用のウレタンブースで、この姿勢制御訓練を行った。 なお第二世代型補助アーマー“シルフィード”には、三機種全てが 搭載されている。これは特化の行き過ぎを抑える為の措置らしい。 補助アーマー 晶所持神姫・基礎中の基礎とも言える、特殊アーマージャケット。 防御力よりはデザインと機能性(この場合ジョイント拡張)を重視、 その結果として執務官が着る様なスーツっぽい意匠となっている。 上半身は半袖タイプというかベストであるが、通気性及び保温性に 優れている他、一年中着られる工夫が晶の手により施されている。 超薄型構造の為に、他の各種防御アーマーとの併用を可能とする。 無論、晶が製作する“Electro Lolita”との重ね着も考慮された。 動きやすさも考慮しているのか、下半身はキュロットスカート風。 衝撃吸収を意図してかクロスも併用されており、破損確率は低い。 個々のカラーパターンは、アルマ:赤/ロッテ:青/クララ:翠。 第二世代型も開発され、こちらは“シルフィード”と呼称される。 急速移動用ブースターを三種全て搭載出来る構造になっているが、 その代わりとして防御力が相当量犠牲にされている。その意匠は、 ゴシックロリータを基調とした、活動的で可憐なドレスという趣。 仕込んだ胸パッドの為に若干艶っぽく見えるのも、弱点と言える。 フリル満載ミニスカートにスパッツ、半袖ブラウスとジャケット、 ニーソックス及びガーターベルト、そして服に仕込んだ胸パッド型 サブバッテリーとネクタイに補助ブースター、という構成。色は、 アルマ:黒・銀・赤/ロッテ:白・金・青/クララ:灰・銅・翠。 “魔剣”の経緯 軽量級武装コンポーネント“Valkyrja”の、進化の限界点が徐々に 露見してきた為、最終的な追加装備として……あるいは全く新型の 武装コンポーネントにおける中核的役割を成し遂げる武器として、 更には三姉妹の“生き方”の象徴として、親友である神浦琥珀嬢に 槇野晶が依頼・制作してもらった。いずれも不可思議な力を持つ。 “舞剣”エルテリア アルマ用に神浦琥珀嬢が産み出した“意志”持つショートソード。 “舞剣”は超一級機密の“真の銘”であり、一方“エルテリア”は 剣を手に取ったアルマが、脳裏に認識した剣の愛称であると言う。 ある種“フルストゥ”シリーズに通じる、美しく黒い刃を備えるが 朱色のグリッドが随所に走っており、禍々しさも兼ね備えている。 アルマ以外には使われる事さえ一切拒絶する、“魔剣”そのもの。 破壊に対する耐性が非常に高く切れ味も鋭いが、真価は別にある。 この“魔剣”の力は、他の剣を従え自在に遠隔操作する物なのだ。 慣れれば、さながら“剣の舞い”と表現する様な連係攻撃も可能。 “ヨルムンガルド”の機能をフル活用する為に備えた能力である。 とは言え発展中のアルマがそれを引き出すのは、労力を伴う様子。 剣自身の“意志”もある故なのか、共に成長する事が必要となる。 完璧に使いこなす事が出来た時は、刀身に三対・鍔と柄尻に一対の MMS用共通ジョイントを併用する事で、無限の戦術を展開する。 “閃牙”ライナスト ロッテ専用に神浦琥珀嬢が製作した、ジャマダハル風のブレード。 “閃牙”は超一級機密の“真の銘”であり、一方“ライナスト”は 愛称である。ロッテ自身も、剣を呼ぶ時はこちらの名前を用いる。 レザー風味の刀身は、ジャマダハルと言うにはかなり長めである。 蒼い刃に白い唐草模様が印象的な大業物だが、材質の詳細は不明。 また、ロッテ以外には振るう事さえ叶わない文字通りの“魔剣”。 射撃武器であるライナストの真価は、破壊に対して非常に強い点と 強大な電力を内包・雷撃として放出する事が可能となる点にある。 この放電機能は、“魔導”なる能力によって実現しているらしい。 その証左かどうかは不明だが、放電時にはコマンドワードが必須。 前者は剣としての攻撃力にも通じており、白兵武器としても優秀。 但し放出系エネルギー剣を受け止めるのは、少々困難である様子。 後者はジェネレータ代わりに利用したり、電磁防壁の構築も可能。 雷撃自体の威力も優秀で、装甲を撃ち抜く程度の事は容易に行う。 “魔奏”コライセル クララの為だけに神浦琥珀嬢が拵えた、鈷杵型の専用武器である。 “魔奏”は超一級機密の“真の銘”であり、一方“コライセル”は 主であるクララ自身が考えついた、愛称兼コマンドワードである。 黒い柄の両端に嵌められた黄金の穂先と、そこに嵌められた翠色の 宝玉が特徴的な杖。自在に伸び縮みするが、物理的攻撃力は凡庸。 しかしこれもまた、クララを主として設定された“魔剣”である。 クララの“魔術”執行過程に於いて発生した、超高圧電子パルスを コライセルに流し込む事で、科学では説明の付かない作用を誘発。 “魔術”を、実空間にも影響する“魔導”へと変換するのが特徴。 制限が幾つか存在するものの、空間侵蝕過程には何ら遜色がない。 クララの意志を物理的圧力のある“力場”に変換しての白兵戦闘も 可能であり、エネルギー系攻撃に強い“防御障壁”も展開できる。 しかし杖自身の破壊耐性が他の“魔剣”より若干低いという弱点を 抱え、場合によっては杖が切断されてしまう危険性を孕んでいる。 メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/526.html
2月14日の武装神姫-02 ・・・2月14日の武装神姫-01の続き・・・ 「このくらいかにゃ? ・・・それじゃ、次〜。」 一個目、無事流し込み完了。2個目、3個目・・・一度上手くいけば、あと はラクチン・・・すんなりと完了。・・・チョコが余ったので、一旦ボウル を湯煎の上へ戻し、先の分に、3人であれやこれやと飾りを着けて、文字を 書いて。 ワイワイやっているところへ、ようやくイオが起きてきた。 「あー!! おそーい!!」 エルガが声をあげた。 「あ・・・すっかり忘れていました・・・今日は14日でしたね。。。」 まだ眠そうにあくびをするイオ。 「忘れていましたって・・・。 まぁいいや。 今年は一人一個作るから、 イオも作ること。」 リゼが言うと、目をこすりながらリゼはボウルの方へ。 「はーい。それで、チョコレートはどちらに? あら、美味しそうな香り。」 まだ寝ぼけているのであろうか、フラフラ〜と、足下も怪しいまま・・・ どべちゃっ!! 「いやーーーーーー!!! あ、熱い、熱いぃぃぃっ!!!」 見事・・・というかお約束というか、よりによって湯煎の湯の方ではなく、 チョコレートの方へ転落したリゼ。 「な、何やっているんですかっ!!!」 慌ててシンメイが駆け寄る。 エルガがすでに飛び上がり、ワイヤーを引き ボウルを持ち上げている。 ひとまず(もったいないとのリゼの一言で)、 イオの分の型の上へイオ入りのチョコレートを流す・・・と。 「あ・・・。」 受け側でボウルを動かしていたリゼが絶句。型に流すまでの間が仇となった のだろうか、出した途端にリゼごとチョコは固まってしまった。 「あ、あの・・・ 固まってしまいました・・・。」 「見れば解る。」 「そ、そんなぁ〜! リゼ、冷たいこと言わないで、何とかしてっ!」 「何とか、ねぇ・・・。 寝坊して、残りのチョコレート使い果たすはめに なった原因を作ったヤツが言うことか?」 「ちょっとリゼ。そこまで言うことはないでしょ?」 と肩を叩くシンメイに、リゼは無言で、後に座り込むエルガを示した。 「イオが悪いわけじゃないけれどね・・・ にゃんか納得行かない・・・。 せっかくみんなで、一個ずつ渡そうと思ったのに・・・。」 大きな目に大粒の涙をためてぐずるエルガ。 「・・・。」 さすがのシンメイも、どう声をかけたら良いか解らない様子。 文字通りに 固まったままのイオも、(おそらく)申し訳なさそう目をしている。 「ん? むむ・・・ あぁ、いい方法があるぞ。」 固まったイオを見ていたリゼがポンと手を叩いた。 「ぬっふっふ・・・」 小悪魔のようなにやりとした笑み。 エルガ、シンメイもちょっとゾクッと 走ったモノがあった。 そして。。。 「ただいまー。 いやぁ、今日は久々の定時上がりだよ。」 まだ早い時間に久遠帰宅。 きれいに片付けられたキッチンに・・・何やら 見慣れないハコが4つ。 「おかえりなさーい!」 と、エルガ、シンメイ、リゼがぴょっこり顔をだした。 「あのね、今日は伴天連隊員の日だか・・・ぶにゃっ」 豪快にシンメイがエルガをどつく。 「もう・・・バレンタインでしょっ!」 「っつーことだ、ヌシさん。 あたしたちも作ったよ。」 片目をつむって、イオがハコを差し出した。 続いて、エルガとシンメイも。 聞けば、皆でちっちゃい身体を駆使し、一人一個、人数分作り上げ、なんと 片付けまでも済んでいるというではないか。 「あんたら、ようやるねぇ・・・ いやー、こりゃ嬉しいよ!さっそく開け させてもらうよっ!!」 満面の笑みで久遠は包みを開ける。 ・・・エルガのチョコはでっかい肉球。 リゼのチョコにはLOVEとでかでかと書いてある。 シンメイのチョコは・・・ アーモンドがちょこんとひとつだけ。 でも、よく見ると・・・濃淡で見事 なハートが描かれ、隅には小さく「愛は最強」・・・って何が言いたいんだ? ・・・とここで久遠が気づいた。 「そういえば、イオ・・・は?」 「あ、あの娘なら疲れて先に寝ちゃったよ。」 リゼが答える。 「こんな早い時間からか?」 「ま、まぁね。 それはそうと、これ。イオの分のチョコレート。」 「をを、何やら豪華そうな大きさだ!」 3人とは違い、高さもあるハコ。 開けてみると・・・そこには、イオその ままの姿のチョコレートが! 「こりゃぁすごい! 時間かかっただろう・・・。」 「チョコを彫って作ったそうですよ。」 何か言いたげなエルガの口を塞いで、シンメイが言った。 「そうかそうか・・・。嬉しいねぇ、こんな立派なモノをもらえるなんて。」 そう言いながら久遠はひとしきり写真を撮り(銀塩)、フィルムを1本使い 切ったところで、まずはイオのチョコレートに手を伸ばした。 「ありがたく頂くよ。 今日の夕食はこれで決まりだなっ!」 嬉しそうに、満面の笑みを浮かべた久遠。 イオのチョコレートの台座部分 をまずは食し、足から食べようとして、一口かじった・・・ その瞬間。 「ぎゃーーーーーーーーーーっっっ!!!!!」 今まで、誰も聞いたことがないほどの悲鳴。 そう、イオ型のチョコは、中身がイオのチョコだったのだ。 何も知らない (当然だけど)久遠は、容赦なく、思いっきりイオの足にかじりついた形に なったのだ。 あまりの痛さに、大暴れするイオ。 剥がれ落ちるチョコ。 さらに、片足を久遠にくわえられたまま、久遠の顔面に猛烈な殴る・蹴るの 暴行を加えている。 そして。 ・・・ぽとり。 イオが久遠の口から落ちた。久遠の顔面は真っ赤に腫れ 上っていた。その一連の様子を見ながらリゼは笑いこけ、シンメイとエルガ は口を開けたまま、どうして良いのか手も出せずに・・・ただ見ているしか できなかった。 その夜。 仕組んだリゼは、顔を氷で冷やす久遠にこってりとしぼられ、イオはチョコ まみれであったため、失神するまで洗浄された。エルガとシンメイは、その 間どうにも気まずく、2人とも部屋の隅で並んで反省モード。 さらには、 その話が何故か翌日にはCTaの所へ漏れ、輪をかけて大騒ぎに。結局、全て が笑い話になるまで、数ヶ月を要することになった。 そんなこんなで、去年の2月14日はとんでもない騒ぎになってしまった久遠。 「・・・今年はチョコレートらしきモノは全部探して没収したから、大丈夫 だと思うんだけどなぁ・・・。」 ぼそりつぶやく。手には、皆で食べようと思い買った、値引きされたチョコ レートケーキ。 しかし、不安の中に、ちょっと期待があるのもまた事実。 (あんなに嬉しい2月14日ははじめてだったっけ。。。) しだいに足が速くなる。 ・・・自宅はもうすぐ・・・ そう、今日は2月14日。 大切な貴方へ、こころを伝える日-。 <トップ へ戻る<
https://w.atwiki.jp/maasyaru/pages/25.html
wiki登録 @wikiガイド 薔薇のWIKI #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (ajUywwa.gif)白銀のWIKI #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (ajUywwa.gif)ちくわ大好きっ子のWIKI #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (ajUywwa.gif)TM軍のWIKI #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (ajUywwa.gif)共同WIKI #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (ajUywwa.gif)焼かれたクマWIKI #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (ajUywwa.gif)有名なWIKI #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (ajUywwa.gif)魁斗のWIKI
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1026.html
約束されし、王妃の宝剣(前編) いよいよその日がやってきた。覚悟を決めたアルマが、前回敗北を喫した 兎型の軍神・“隻腕の”ティールに申し込んだ指名再戦。その受理通知が 私のPHSに届いたのだ。これを乗り越えねば、アルマのセカンド入りは 恐らく成し得ないだろうな。私・槇野晶は、深夜彼女にこの旨を伝えた。 “ヨルムンガルド”での剣術練習をしていたアルマの面も、引き締まる。 「ついに明日、ですか……マイスター。兼ねてのお願い通り、明日は!」 「有無。シルフィードに“レーラズ”と幾多の剣、か……良いのだな?」 「ええ……それこそが、あたしが今為すべき戦いなんだと思いますから」 「一応アルマのオーダー通りに剣を改良し、“マビノギオン”もあるが」 「“マビノギオン・アサルト”ですね?……これで、準備は万端ですっ」 そう言って私は、改良が終わったばかりの“ヨルムンガルド”の鞘と、 不思議な形の、一対のナックルガードを渡す。左腕側が少々大きいな。 腰のジョイントに鞘を取り付けガードを手に填めたアルマは、真剣だ。 しかしそれは、前の様な思い詰めた表情ではなく……落ち着いている。 前の戦いで何かを悟ったというのは、誤魔化しや嘘ではないのだろう。 「後は、あたしの戦いをするだけ。マイスター、明日はお願いします」 「分かった……今日はもう休め。明日への英気を養うのだ、アルマよ」 「大丈夫ですの。感じた事を信じて、アルマお姉ちゃんらしく……ね」 「マイスターの横でボクらも見てる。大丈夫だよ、一人じゃないもん」 「みんな……有り難うございますッ。精一杯、明日は戦いますッ!!」 こうして皆に励まされたアルマは、特に緊張するでもなく眠りに就く。 むしろ、私の方が緊張して眠れん位だ……美容には好ましくないがな。 だがそれでも眠りは訪れ、気が付いた時には集光タワーからの陽光が、 私の頬を照らしていた。時刻は……五時半か。有無、何時も通りだな。 皆で早々に朝食を済ませて狭い風呂に入り、出かける身嗜みを整える。 ──────こら貴様、乙女の入浴シーンを覗くな。首をへし折るぞ? 「ふぅ~……この時期は寝汗をかくからな、シャワーが気持ちいい」 「……マイスター、マイスターっ。ちょっぴりふくらみましたの?」 「ぶっ!?な゛……お、お前らとてアレを着ればそうなるだろう!」 「シルフィードと“レーラズ”だね?……でもマイスターのは……」 「あうあう、見るなぁ!?は、恥ずかしいではないか……全くもぅ」 「ふふ……ですけど、きっと驚きますよ二人とも。アレを見たら♪」 弟二世代型補助アーマー“シルフィード”には胸がある、と以前述べた。 しかしそれは、普通のパッド程度でしかない僅かな厚さのバッテリーだ。 だが“フィオラ”を下敷きにして作ったハイブリッド・アーマードレス、 “レーラズ”は違う。胸部には装甲と大型のサブバッテリーを搭載する。 それ故に、マーメイドタイプ・イーアネイラの如き豊満な胸となるのだ。 実際、風呂あがりのアルマに着せてみる事としたが……どうだ、これは? 「デザインは綺麗ですの。防御力も高そうですけど……お胸が……」 「ろ、ロッテちゃん零距離で見ないで下さい!?二人のも、ねっ?」 「有無、ちゃんとロッテとクララのも作っている。だから落ち着け」 「人魚型が神姫達の羨望を集める理由が、少しだけ分かったんだよ」 ただのパッドでは面白くないので、フィット感にも拘った。結果として、 “レーラズ”を着用したアルマのスタイルは、イーアネイラ程ではないが 極めて良好な格好になる。これは、私のデザインとしては初めての試み。 この方向性は、現在開発段階の戦術支援システムにも取り入れる予定だ。 尤も、美しさは躯のスタイルや顔面の造作だけで決まる物でもないがな? 「でも、見た目だけじゃなくて機能の面でもいろいろあるんですよねっ」 「有無……まあそれはアルマが戦闘で披露する……その積もりだろう?」 「楽しみにしてますの、アルマお姉ちゃん♪って、そろそろ時間ですの」 「指定の時刻だね。武器の荷造りも終わったし、このまま出ようかな?」 「そうだな、では往くぞ神姫センターへ……アルマのリベンジへとな!」 “レーラズ”姿のアルマと“Electro Lolita”姿のロッテ及びクララを 引き連れ、私も勝負服を着込み神姫センターに入る。眼鏡に陽光が差し 視界が揺らぐが、この時期はしょうがない事だな。センター内部には、 朝から高まる都会の熱気を避けようと、多くの人々が入り込んでいた。 とは言え此処は、毎日別の意味での熱気でムンムンしているのだがな。 「さて、十三番デッキか……む、居たぞ。ティールとそのオーナーが」 「来たか、アルマとやらよ。再戦を挑む覚悟が出来上がったと聞くが」 「ええ……今度こそ貴女を倒して、次のステップに踏み込みますから」 「威勢は良し。だが、前の様に胸を抉ってやろう……さあ、始めるか」 「私の“妹”を侮らぬ方が良いぞ、ティールとやら。さ、準備だッ!」 相手の挑発を受けつつも、アルマは冷静である。少し彼女も変わったか。 腰にヨルムンガルドと魔剣エルテリアを装着、両腕に“マビノギオン”。 軽量ランクギリギリの超重武装だった前回とは真逆の、超軽量スタイル。 だが私は何も言わずに、そのまま笑顔でエントリーゲートへと送り出す。 再戦制度を利用して、バトルフィールドは前回と同じ浮遊島を指定した。 『アルマvsティール、本日のサードリーグ第2戦闘、開始します!』 「さぁ、死合いましょう。ティールさん!……いつでもどうぞ!」 「──────良い覚悟だ、往くぞッ!」 左右の腰から一本ずつ“ヨルムンガルド”を引き抜いたアルマが構える。 そこへ、風を押し潰す様にして一気呵成にティールが拳を打ち込んだ!! その狙いは確実で、このままなら胸を貫かれただろう……だが、違った。 「おおおぉぉぉぉっ!!」 「……そこっ!」 「何……剣で、いや……体でいなした!?」 ふわり……と僅かに浮かび上がったアルマは、強化セラミックの黒刃で 拳の軌道を反らし、衝撃を無理に止めずそのまま後ろへ飛んでいった! そう。レーラズに搭載されている機能の一つが、この浮遊機能なのだ。 本来は補助ブースターの性能を向上する為の、低出力飛行能力だがな? 「無理に逆らわず、一撃の威力を殺したのか……!」 「防御力だけに頼っていては、すぐに砕かれてしまいますから」 ──────本当の覚悟は、まだまだこれからだよ。 次に進む/メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1065.html
疲れた時は、玉を磨いて(後半) 極力、意識を反らす。普段からやっている事と言え、凝視すると彼女らも 私も……どうにも気恥ずかしくて堪らぬ。シチュエーションの魔力だな。 『何をしてるか』?見ての通り……否、見るな!今すぐ目を潰すぞッ!? 「んん……♪はぁ。気持ちいいです、マイスター。本当、優しい手」 「……アルマお姉ちゃんは、とっても気持ちよさそうなんだよ……」 「そうですねぇ、こんなに惚けた評定しちゃってますの……えい♪」 「ふにゃん!?へ、へんな所突っつかないで下さいロッテちゃん!」 「……お、お前達ッ……頼むから、もう少し大人しくしてくれんか」 ……何を想像している?神姫素体と人工毛髪を洗っているだけだッ!! だが、その。彼女らは“服を着る”神姫である。故に、服のデザインを 邪魔しない様、素体のペイントは私が考案した特殊なパターンなのだ。 「はぁぁ……あ、有り難うございましたマイスター……はふぅ……」 「……すっかり腰砕けなんだよ。マイスター、次はボクのをお願い」 「あう?あ、ああ……よし、目を瞑っていろ。洗浄液をかけるぞ?」 「んっ……し、染みるんだよ……じゃあ、お願い……んぅ、っ……」 「なぁ。なんでお前達は躯を洗う度、それ程悩ましげな声を出す?」 「気持ちいいから、じゃダメですの?センサーはないですけど……」 従って全くの裸ではないのだが、何というか……かなり、際どくてな? ジルダリアタイプよりは幾分マシなレベル、と言えば分かるだろうか。 そんな“神の姫”達が、私の手洗いで気持ちよくなってくれている…… 正直自分でもどうかと思うが、直視は出来ないッ!丹念に洗う事だけを 考えて、一生懸命彼女らを磨くのが精一杯。だがそれは、逆効果……。 「い、いや……悪くはないんだがな?こう、なんだ。私の胸がな?」 「……あ、そう言えばまたマイスターの胸、膨らんできましたねっ」 「わ゛ひゃぁぁっ!?あ、アルマ!いきなり突くな、手元が狂うッ」 「ご、ごめんなさいっ!でも……最近“成長期”だったりします?」 「お前な、誰を掴まえて言っているんだッ!……全く、恥ずかしい」 「……はぁっ、マイスター……そこ撫でちゃくすぐったいんだよっ」 丹念に洗おうとすればする程、彼女らの“声”を引き出す結果となるッ! 無論の事、いかがわしい改造は現時点に至るまで施していないのだが…… CSCとコアが産み出す“心”とも言うべき物が、作用すると思われる。 それが、温度センサーや痛覚センサーのバランスを“心地よい”と解釈し 結果として、彼女らは“気持ちよさ”を覚える……それが、私の推論だ。 「……ん、クララも一丁上がり。最後はロッテだ、ほら。こっちへ来い」 「はいですの~♪……んふぁ、あっ……ん~……♪気持ちいいですの~」 「姉妹のシンパシーと言うべきか……こんな所ばかり似てしまってるな」 「はぁぁ……そこ、丹念に洗ってくださいですの~……んん~っ……♪」 「むぅ……鼻歌まで歌いおって、そんなに気持ちいいのか。このこのっ」 「ふゃぁあっ♪ま、マイスターってばそんな乱暴しちゃだめですの~♪」 浴槽の縁に腰掛けたクララと、既に一っ風呂浴びた……というよりは、 湯船に潜水等をしているアルマが、こちらを楽しそうに見つめている。 正直気恥ずかしい……ではなく!そ、そうそう。神姫の躯というのは、 案外防水性に優れている。第五弾が軒並み対水戦闘に長けているのも、 MMSが元来持つ耐水性故である。きちんと各部ハッチを密閉すれば、 アルマの様に気持ちよく風呂で泳ぐ事も出来るのだ……って、待てッ! 「こらアルマや、あまり風呂で大っぴらに泳ぐなと言ってあるだろう」 「あ、すみません。でもフロートに掴まってないと沈んじゃいますし」 「マイスターに来てもらわないと、ちゃんとお風呂に入れないもんね」 「まあ待て。今ロッテを洗い終わった、私の躯を洗ったらすぐ往こう」 「はぁ~……気持ちよかったですの♪じゃあ、マイスターも早くっ♪」 はぁ、と一息ついてから洗浄剤のキット一式を片付け、私は自らを磨く。 家より丹念に髪を洗い、汗の汚れや金属粉を残さず落として……次は肌。 あの娘達が、いつも気に入ってくれている“綺麗な私”に戻りたくて…… 丁寧にボディソープで腕を、胸を……腹・脚を……全身をくまなく洗う。 “妹”らに見られていると思うと、全身がむず痒くなるが……我慢我慢! 「ん~……っと、よし。泡も一通り流した。今行くぞロッテ達……って」 「随分流されちゃいましたの~♪マイスター、助けて下さいですの~♪」 「馬鹿を言うな、何故給湯口の方に流れるかっ!全く、仕方ない娘らだ」 「あう……皆で縁の壁を蹴ったってばれちゃいましたね、クララちゃん」 「普通、すぐにわかりそうなものなんだよ。でも……あ、来てくれたね」 悪戯のつもりか、三姉妹は揃ってフロートに乗り“沖”に出ていたのだ。 しょうがない娘……でも、そんな挙動も堪らなく愛らしい。何せ、元々は 構ってやれんという事でここへ来たのだからな。可愛らしいじゃないか。 そっとフロートを引き寄せて、つやつやになった“妹”達を抱き寄せる。 有無。微細な傷も汚れも、埃さえも一切ない綺麗なボディになっている。 「全く……私の肩や手に乗れ。この高さなら、丁度漬かれるだろう?」 「はいっ……んしょ、暖かくて気持ちいいですね~……極楽極楽っ♪」 「普段だとマイスターも狭そうですし、家のお風呂とは違いますの~」 「だな。あのユニットバスでは、私としても若干狭い……はぁ~……」 「あ、マイスターも気持ちよさそう……じゃあ、ボクらもくつろぐ?」 皆で肯いて、私達は黙って躯を温める。夏と言えども露天風呂も良い。 穴蔵暮らしは、空調が生命線になってしまう。そうなると躯も冷えて、 この娘らにも体表面に、汚れ等の悪い影響が出かねない。偶にこうして 躯の穢れを洗い流すのは、実利も兼ねた私達の娯楽であり儀式なのだ。 ちなみに、私達はそろって長風呂である。もう一時間は出ないだろう。 「はぁぁ~……躯中の疲れが溶け出していく様だな……気持ちいいか?」 「とっても気持ちいいんだよ……思わず、湯船に落っこちそうだもんね」 「だから、こうして……マイスターに寄り添えば大丈夫ですの~……♪」 「えへへ……マイスターのお肌は、やっぱり綺麗なのが一番ですね……」 ──────“飾り気”のない付き合いは、やっぱりいいものだね。 次に進む/メインメニューへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2735.html
和也は躊躇した。左手で相手の体の大部分を掴んでしまっていたため、あの状況で右手で殴ることが出来るのは顔だけだった。 相手はエウクランテの姿をしているとはいえ、中身は好意を抱く先輩。自らの鉄甲が彼女の顔を物理的に潰すビジョンが頭をよぎり、寸前で止めてしまったのだ。相手が彼女でなければ、顔面だろうがなんだろうが問答無用で叩き潰すことが出来る。しかし、彼女の場合は話が別だ。 彼もこれが真剣勝負であることは理解している。だからこそ躊躇した自分が許せなかった。結果的に手を抜いたことになる。 だが、今はこれからどうするかを考えるべきだった。だからこその“勝負”だ。 和也が勝負を提案したのは理由があった。まず第一に武装があまりにも心持とない。相手はランチャーも短機関銃も持っている。こちらは防壁一つに破城鎚式強化鉄甲のみ。先程の一撃でリアパーツのみならず脚部にまで異常が発生、逃げられたら二度と追い付くことが出来ない。だから相手を止める必要があった。 相手のビークルがゆっくりと上昇する。あの動き、間違いなく相手は固有RAを発動させている。つまり、来る方向は定まっている。だったらそれを返り打ちにするだけ。 (これが正真正銘のラストアタック!) 右手の鉄甲のエネルギーパックはまだ十二分にある。足が心配だがこの際気にしてはいられない。 ビークルが突撃してくる。タイミングを合わせ、深く腰を落とし、息を吐く。そして、その顔面めがけて拳をめり込ませた。 「あああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!」 拳とビークルが激しく衝突する。足が悲鳴をあげ、体全体が軋む。 (エネルギーパック、フルブーストォッ!!) 鉄甲から吐き出されているブースターが、さらに激しさを増す。それでもまだ、均衡は崩れる様子を見せない。これでやっと互角だ。 だが和也の武器は元々パイルバンカーの機構が組み込まれている。杭が打ち込まれる所を拳を打ち込むこの鉄甲は、一発一発の爆発力が高い。 「天地激震っ! フィスト……」 だからこそ、その一撃は必殺の一撃。 「バンカァァァァァァッ!!!」 トリガーを引いた瞬間、和也は目の前で何かが砕けるような音を聞いた。それは、プレステイルの頭部であるノトスを始め、胴体のボレアスまで砕けた音だった。ノトスは何度か負荷がかかっていたから、砕けるのはわかるが、ボレアスまで砕けたのは、一瞬わからなかった。だがすぐに考えにいたる。相手はレールアクション中であり、ひたすらに前に進むことを強いられていた。前からかかる力を後ろへいなすことが出来ず、待っていたのは身の破滅。 だがこれで終わってはいなかった。砕けたプレステイルの部品が舞う中、和也は気付いた。 (いない……!?) さっきまでプレステイルの背にいたはずの相手の姿がなかったのだ。それに気付いた時、和也は相手の思惑にも気付いた。 上空より飛来する影。左腕を動かそうとして、出来なかった。蹴られた時のダメージがまだ残っているらしい。 右腕は論外だ。ナックルを打ち込んだ後にはかなりの隙が出来る。 つまり完全に無防備。 唯一動く顔だけを動かす。武装を失い、ほぼ素体のそれが握りしめているのは、薙刀だった。 「せいっ!」 振り降ろされた刃は、ハオがダメ元で張ったバリアと接触し、フィールドにブザーを鳴らす結果に終わった。 「まさかビークルが囮だったとは。いやぁ、完敗です」 バトル終了後、私はなんだか定例となりつつある対話をしていた。場所はいつもの休憩室。 「私も危なかった。あの時朱野くんが止まってなかったら、負けてたのは私の方だった」 「それについては、すいません……」 私が固有RAを発動した時に朱野くんが止まった理由は聞かせてもらった。確かに、人の顔を殴るのは抵抗があるかもしれない。 「先輩は、こっちの足が動かないことがわかってたんですか?」 「うん、勝負って言われた辺りからなんとなく」 あの流れからなら、勝負と言うのは割りと普通のような感じだったが、彼がそれをしなければならない理由を考えた時、もしかしたら足が動かないのではないか、とは思いあたったのだ。あくまで推論であったが。 「じゃあ、どうして射撃武器で終わらせなかったんですか?」 「こっちもアイオロスが壊れてたのと、あとはなんとなく」 確かにあの状況なら、ストームでそのまま削り切った方が早い。相手の間合いに飛込まずに済むし、確実だ。勝ちを欲しければ、そうするべきだったとは思っている。 「なんとなく、ですか?」 「うん。勝つだけじゃ、なんかつまらないって言うのかな」 私は決して強くないし、魅せるバトルなんてもっての他だ。それでも、勝つだけのバトルはやりたくない。 「バトルした後に、楽しかったって思えるバトルがしたい。たとえ勝っても負けても」 多分、そう言うことなんだと思う。勝っても負けても、楽しかったで終わるバトルなら良いと思う。 「……ますます好きになりそうだ」 「何?」 「いえっ、なんでもないです!」 またも朱野くんがぼそっと呟く。もしかして、私は何かおかしいことを言ってるんだろうか? 思い直してみれば、皮肉に聞こえるかもしれない。むしろ聞こえる。 「ごめん、皮肉っぽくて」 「いえいえっ、決してそんなことないですよ!」 「でも、負けてこんなこと言われたら、嫌だよね」 「そんなことないですっ!!」 休憩室に、朱野くんの声が響いた。幸い人はいなかったが、言った本人はバツが悪そうにうつ向く。そして、ポツリポツリと話し始めた。 「僕、先輩のことがかっこいいって思ったんです。バトルをしてると、勝ちさえすればいいって言うマスターにはよく会うんです。そんな中で、先輩は勝ち負けにこだわらない、楽しいバトルがしたいって言ってて、すごいなって思ったんです」 「朱野くん……」 「多分、それは甘い考えだって言われるかもしれませんが、僕は立派だと思いました。だから、先輩はそのスタンスを誇っていいんです」 勝ち負けにこだわらない、そんなバトルをしたい。口にするのは簡単で、その実とても難しい。 誰だって負けたら悔しい。だから、負けても楽しかったと思えることは希なのだろう。 勝ちこそが全て。そんな考えもわからなくは無い。でもそんなのは、つまらないと思う。 「ごめんなさい、僕の方こそ、なんか説教みたいで……」 「そんなことない。嬉しかった」 「……ありがとうございます」 私の言葉に、朱野くんは微笑んでくれた。やっぱり、暗い顔をしてると周りまで暗くなってしまう。昔華凛が言っていたことだが、今ならその意味がよくわかる。 その時、私は華凛が言った別のセリフを平行して思い出していた。 「どうせなら楽しくした方が良い……」 「え?」 「昔、華凛が私に言ってくれた言葉。私はその通りにしてるだけ」 そう、今も昔も変わらない。華凛が言ってくれた言葉が私を支え、そして前へ進ませてくれる。私にとって華凛は全てであり、世界のような存在だ。 朱野くんは私の言葉に数度頷いた後、 「……先輩、もしよろしければ、携帯のアドレス交換していただけませんか?」 と言ってきた。 「……へ?」 「いや、そこでそんな反応を返されても……」 突然の提案に私は驚きを隠せずにいた。それに正直、私は華凛以外にアドレスを教えたことなど無い。だからなんと言うか、変な気持ちだった。 「ごめん、華凛以外にアドレスを教えるの、初めてで……」 だから、戸惑った。 華凛以外との繋がりが、こんなに簡単に結べて良いものなのか。 なんとはなしに泳いだ目が自分のポーチに入る。そこではシリアがこちらを向いて親指を立てていた。そして無言で笑うその姿は、私に『大丈夫だ』と伝えているように思えた。 「……わかった」 「ありがとうございます!」 それから、お互いのアドレスを交換した。なんだか不思議な気分だった。他人との関わりってこんなに簡単に持てたんだ。 その後、朱野くんは用事があったらしく、すぐに休憩室から出て行ってしまった。残された私は、さっき交換したばかりのアドレスをまじまじと見ているしか出来なかった。 「どう? 樹羽」 ポーチの中からシリアが顔を覗かせ、そんなことを言った。 「どう……って?」 「華凛さん以外に初めてアドレス交換した感想」 どうと言われても、まだ漠然としかしないから、さっぱりわからない。 ただ…… 「まだ、ちょっと信じられなくて」 華凛しか信じていなかった。ずっと華凛だけを見ていた。華凛だけが味方だった。 けれど、シリアと出会い、私は変わった。 絶対にマスターを裏切らない神姫。そうプログラムされているからじゃない、本当の意味で、シリアは私を裏切ったりしない。 だから、他の人のことも少しだけ信じてみよう、と思っただけだ。 「最初はそんなのでいいんだよ。樹羽は樹羽のスピードがあるんだから」 「うん。ありがとう、シリア」 その時だった。 私たちが笑いあっていると、休憩室のドアが荒々しく開かれた。 「先輩! ちょっと来て下さい!」 「朱野くん?」 そこには、先程休憩室を出ていった朱野くんが息を切らして立っていた。 「どうしたんですか? そんなに急いで」 「外が……大変なんです!」 「外?」 外に出た私たちは思わず絶句した。そこには、あってはならない物が存在していたからだ。 「僕が出たら降ってたんです」 「雪……?」 雲一つない晴天から、止むことなく振り続いているのは、紛れもなく小さな水の結晶だった。それは地面に触れると、吸い込まれるように消えていく。そんな雪を、私は樹羽のポーチの中から見ていた。 おかしい。明らかにこれは異常現象だ。夏の暑い昼下がりに、雪など降っていい訳がない。 だが、私の神姫アイには確かに雪が映っていた。これは紛れもない事実だ。 「どうなってるの、一体……」 「わからない。けど、絶対におかしい」 樹羽は雪をその掌で雪を受ける。私も降ってきた雪を手で取ってみた。すると、まるですり抜けるように消えた。その常軌を逸した出来事に、私の思考はフリーズしかけた。 「あ、止んできた」 私が止まる前に雪の方が止んでくれた。しかし、理解不能な現象を目の辺りにした私の頭は熱暴走寸前だった。 「なんだったんでしょう……?」 「さあ……?」 降っていた雪は、何もなかったかのように静まっていて、人々の喧騒だけが私達を包み込んでいた。 「昼間の雪、なんだったんだろう?」 お風呂から上がり、クレイドルのシリアに話しかけた。お風呂に入ってる間も考えていたが、結局答えなんかわからなかった。 「私に聞かれても……異常気象を通り越した何か、としか答えられないよ」 どうやらシリアが考え抜いた答えはそれらしい。確かに雲のない空から舞い落ちる雪。これは異常気象を通り越した何かと呼ぶにふさわしい。 「ネットの方も探ってみたんだけど、一切騒ぎになってなかったんだ」 「そうなの?」 あんな異常現象、あちこちで騒がれてもおかしくないはずなのに、一切騒ぎになってないなんて。思い出してみれば、あの時周りにいた人たちは、何も見ていないかの様に振舞っていた。 私たち以外には見えなかった? そんな雪があるのだろうか。 私はその話題を一旦隅に置いて、別のことを聞いた。 「……華凛から返信は?」 「それが、音沙汰なし……」 これは仕方ないと思う。華凛に休むように言ったのは私だ。きっと今頃寝ているのかもしれない。 私はパジャマを着ながらベッドに腰かけた。そのまま後ろに倒れるように横たわる。頭に乗ったタオルの隙間から、見慣れた天井が覗いていた。 (なんか、変な感じ……) どうにもあの雪を見てからと言うもの、まるで夢の中にいるかのように意識がハッキリとしない。言葉で表現できない、違和感。それが、ずっしりと体にのしかかっているようで。 (明日は……来るのかな……?) そんな、自分でも呆れるような突飛な発想が浮かんでくる。それほどまでに、私は不安定になっていた。 これはきっと疲れているせいだと決め込み、私は無理矢理寝てしまうことにした。 しかし、眠気は一向にやって来ることはなかった。 クレイドルの中で、私は迷っていた。と言うのも、樹羽に聞かれなかったことを伝えるか否か、と言う話だ。 特にさしあたりがなければ話すつもりだった。だが内容が少し異質だったため、話すことが躊躇わられたのだ。 樹羽は今日、華凛さんの他に朱野さんにメールを送っている。昼間の雪に関して、何かわからないか、相談する内容だった。 はたして、朱野さんからの返信は来ていた。樹羽から内容は見てもいいと言われていたため、確認してみたのだか、その内容はおかしな物だった。 『雪? 別におかしいことじゃありませんよ?』 昼には一緒に驚いていたのに、夜になって一変してこの返信。明らかに異常だった。 何かが狂い……いや、崩れ始めている。それが、私が辿り着いたとりあえずの答えだ。 やはり、内容が内容なだけに、これを樹羽に伝えるのは躊躇する。本当なら伝えるべきだ。それを私は、聞かれなかったと言う理由を言い訳に伝えないでいる。 (どうなってるの……一体……) 明らかな季節外れの雪。それを疑問に思わなくなった人。科学では説明できない何かが、世界に振りかかっているかのようだ。 いや、まるで世界が音もなく、ひっそりと崩れていくように狂っていくと言った方がいいか。それを認知できるのは、もう私と樹羽だけなのだろうか? そして、おかしいはずなのに、私の頭はどこかでそれを肯定している。知恵熱などに対する自己防衛なんかではなく、この状況が正常である、とそう感じているのだ。 (私も……おかしいのかな……?) いや違う、おかしいのはこの世界だ。私はおかしくなんかない。 それなのに、この世界を肯定する私は消えない。 私は一旦考えるのを止め、無理矢理寝てしまうことにした。少し情報を整理したい。神姫は寝ている間に情報を整理する。だから、一度寝てしまってから考えてみてもいいと考えた。 だが、明日までこの情報はあるのだろうかと、不安になってしまう。 狂った世界は、どうなるかわかったものではない。私も、この世界に巻き込まれてしまうのかもしれない。 そんな訳ないと自分に言い聞かせ、私はスリープの体勢に入った。 第十一話の2へ 第十二話の1へ トップへ戻る
https://w.atwiki.jp/busoushinki2/pages/15.html
wiki編集用掲示板 このページはwikiの編集に関しての 内容の修正 誤字脱字の修正 ページ作成等の編集依頼 などを書き込む掲示板です。 このページのコメントの削除・編集は行わないでください。 (しかし既に修正が行われた編集依頼については反映された事を確認した上で削除しても構いません) 編集用掲示板
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1074.html
戦うことを忘れた武装神姫 - type_S -04 皆様、こんばんは。 神姫との生活、いかがお過ごしでしょうか。 キャッキャウフフも、ドキドキハラハラも。そして、夜の生活も。 それぞれに、それぞれの生活があることでしょう。 時には、神姫に仕事や趣味を手伝ってほしいときもありませんか? しかし。 世の中には、本当は怖い神姫との生活というものもあるのです。 今宵は、その一部をご紹介しましょう・・・。 ・ ・ ・ ・ ・ ~同人神姫・Phase-1:ある男の場合-1~ 「久々の原稿作業だぁねぇ・・・」 依頼されたページ数を消化すべく、カリカリとトレス作業にいそしむ男。 「にゃーさん、なにしてるの?」 と、トレス台の傍らからマオチャオが顔を出した。 「あぁ、これかい。 久々に同人誌の原稿を描いているんだよ。」 「へぇ・・・。 あ。にゃーの絵だー。」 傍らで乾燥を待つカラー原稿にマオチャオが気づいた。 「ははは、お前らをモデルにしたシーンもあるからねー。」 「ねぇねぇ、この絵ちょうだい。」 と言うが否や、マオチャオは自分の顔が描かれた部分をびりびりと破り始めた! 「ちょっ!!! な、何してるんだ!」 男は慌ててマオチャオをつまみ上げたが、時すでに遅し。 原稿の端を掴んだままであったため、傷口はさらに広がり・・・。 「あぅあ。。。」 カラー原稿、まっぷたつ。 掴んだマオチャオを睨むと、瞬時に泣き顔になるマオチャオ。 「ふえ・・・ご、ごめんにゃさいなのーーー!!!」 男はため息をひとつ付くと、マオチャオを部屋の外へと追い出して。 半分泣き顔で、再度カラー原稿に取り掛かるのであった。 それから1時間後。 「そうですか、それでマオチャオはいじけていたんですね。マスターも大変でしたね。」 コーヒーを持ってきたハウリンに先の経緯を教える男。 「あの・・・私、ライン引き程度ならお手伝いできると思うんです。」 と、原稿の脇にある烏口を指さすハウリン。 「お? やってみるか? ・・・お前なら間違いないだろうし。まずはそこの紙でちょっと練習してごらん。」 インクを付けた烏口を渡す。 ・・・ハウリン、なかなかのお手前。 しかし、イマイチ線が安定しない。 「あの・・・上手く行きません。。。」 「あっ。 久々に出したから・・・少し研いでから使わないといけないな。 悪いけれど、先を研いでもらえないかな。 そうすれば、もっとシャープな線が引けるから。」 「はいっ!!」 男は砥石を渡し、コーヒーカップを台所へと戻しに席を立った。 数分後、机上にはきれいに研がれた烏口を手にしたハウリン。 「おーおー、きれいきれい。 じゃ、今度はこっちのコマのほうへ線をおねがいするよ。」 大きく頷き、定規を脚で押さえて。 器用に、しゅたたっ!!と見事なコマ割りが完成。 男は感心しきり。次々に下書きのされた原稿用紙を渡し、次々にコマ割りが済んで行く。 その間、男はカラー原稿の仕上げに取り掛かり・・・ 「マスター!終わりました!」 並べられた原稿には、どれもこれも見事な直線。 「すんばらしい! さすがはウチのハウリンだ! さぁて、まずh・・・ え・・・えぇ?!」 下書き原稿を持ち上げようとしたが、原稿は・・・バラバラになった。 そう、烏口を研ぎすぎていたため、原稿が・・・切れてしまったのである。 「あ、あうぅ・・・」 男は悲しそうな顔付きで、どれもこれもパズルのようになってしまった下書き原稿を拾っていた。 「も、もしかして・・・私のせいですか・・・?」 泣き出しそうになるハウリンを、男は必死でなだめ始めた。 原稿、未だ仕上がらず。 容赦なく迫る締切・・・。 甘美な響きの「神姫のお手伝い」。 だがそれは、「仕事量倍増」の言い換えでもある。。。 >>次の話を読んでみる>> <<トップ へ戻る<<